佐渡の朝鮮鐘

長安寺山門(右は白髭神社) 朝鮮鐘

佐渡、両津から車で15分ほどの久知河内の長安寺には朝鮮から佐渡へ来た銅鐘 がある。朝鮮式の竜頭のある鐘だ。13世紀からここにあったといわれ、伝説によれば、若狭の海底から引き上げられて運ばれてきたものとされる。なぜ佐渡 か、なぜこの寺にあるのかはわかっていない。若狭にも同じ時に引き上げられたとされる鐘があるが、保存状態は佐渡の方がよい。佐渡はもと もと新潟よりも若狭、能登半島との関係が強い所である。

中世の佐渡は本間氏により支配されていて、この寺も久知本間氏によって保護されたが、天正18年(1589)、上杉景勝の佐渡攻めの時に飢えすぎ軍を応援 した佐和田町の真光寺住職によって持ち出されたが、真光寺が明治の廃仏毀釈で廃寺になったため再びここに戻されたという。運ばれる際に鐘の上部につ いているいぼのような物がとれた。同じ所が引きずられたためという。

長安寺で朝鮮に関係する物は他に阿弥陀四大菩薩像図がある。こちらは1586年に描かれたも ので李朝中期の仏画の典型とされている。こちらも来歴不明である。

なお、長安寺の隣には高麗王若光を祀った白髭神社がある。神仏分離以前は長安寺内であったが、この神社があるためにこの地域は元々渡来人との関係がある地 域ではないかとも言わ れている。佐渡には他にも渡来系の仏像や古代陶作部の居住地域や須恵器窯などが多く発見されている。


朝鮮鐘の特徴を示す竜頭 阿弥陀菩薩図 白髭神社
 
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