嶋屋醤油工場
取り壊し直前
昭和12年

嶋屋はおそらくソウルで唯一、日本語の文字が残った建物で、ソウル駅の次の南営(남영:ナミョン)駅のそばにあった。嶋屋は明治末に創業。創始者の戸嶋氏は近江生まれ。日露戦争で朝鮮に従軍した後、東京麹町の「嶋屋」京城営業所を開店した。「亀甲裕醤油」をメインに、清酒、味噌なども販売していた。当時朝鮮に進出していた「亀甲萬」と肩を並べるほどで、宮内省御用達になっていた。

嶋屋は満州奉天にも支店を出すなど、零細企業の多い朝鮮の醤油工場の中で異彩を放っていた。戸嶋氏はそのほかにも農機具、料亭など幅広く経営していた。惜しくも2000年9月末に撤去され、ゴルフ練習場になっている。
 
ソウル側壁面(薄く文字が残る) 線路側壁面(文字の上からセメントで覆ったため却って目立った) 煙突

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