2002年12月7日に韓国文化院で行われた「フォーラム2002」 の中で高校の現状を発表したときのレジュメで、
高校の一般的な状況が解るように編集したものを再編集したものです。
 
高等学校におけ る韓国語教育−日比谷高校を例として−
武井 一

講 座
第2外国語(他に独・仏・中・英会話を設置)
2年生配当。自由選択科目。週2時間
講 座名 「ハング ル」 南北両方の籍の生徒も参加しやすいようにという配慮から。
志望動機
・韓国語がかっこいい。
・ウォンビンにあこがれて。
・近くに韓国人がいるから。
講座設定目標
ヨーロッパだけでなく、隣国の言葉を知ることにより、より広く国 際交流理解ができるようにする。
あわせて隣国の文化を知る。

授 業の目標 
(1)同世代の人が会ったときに、簡単な自己紹介ができること。
(2)韓国の文化の概観がわかること。
授業内容 (夏休みま で) 簡単な自己紹介とハングルの導入。
(冬休みまで) 辞書を使い簡単な文章を読む。
(春休みまで) 文化理解を中心に。

開 講の経緯 日比谷高校 においては古くから独仏語の講座が置かれてきた。中国語については60年代の末に一時期講座が存在したがその後休止状態であった。
フォーラム 通信もあわせて参照 97年 に中国語の再開とあわせてハングルも設定された。この前年 赴任してきた教諭が中国語のクラブを作りたいと発案したことがきっかけ。以前からそのような講座の必要性を感じていた別の教諭が、韓国語と合わせて正式な 講座を作ることを提案した。当時韓国語の重要性を理解していた管理職の理解を得て講座を設定できた。
他校でも、中国語については比較的自然な発想で導入されるのに対 して、
韓国語はよほどのきっかけ、あるいは学校・管理職の理解がないと開講が難しいようである。

講座運営に関する問題点
(1) 週2コマ連続で、しかも8,9時間目に設定されているため、学校行事などの関係で授業がカットされることが多い。
   特に7月から10月までは基本的に授業がないため、文字の定着などは かなり困難である。

(2)  独・仏・中などは黙っていても生徒が集まるが、韓国語はかなり意識的に募集活動をしないと、生徒が集まらない。

    今年は8クラスすべて募集活動が出来たが、以前ほど力を入れなくとも、軽く肩を押してあげれば人が集まるようになってきた。

(3)  英語教育に起因するマイナスイメージをどう克服するかが問題。

(4)  多くの学校が似たような状況で、自分から選択して履修しているため動機づけは比較的高いが、4技能すべての習得は
    まず出来ない。 発音・文字からか、会話・文字から導入して1年間が終わることも多い。必修の学校もあるが、その場合は
   生徒の動機づけだけで1年間終わ るケースも見られるし、学校の状況によっては授業そのものが成立しない所も散見される。

(5)  高等学校の場合、様々な科目の中の1教科の位置づけであるため、必ずしも韓国語の習得そのものが目的でない。

    教科を通じて民族理解、異文化理解、国際交流など様々な目標が設定されている。それらとのバランス、全教科の中での
    韓国語教育の位置づけをどうしていくかが、課題とし て残されている。

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