韓国の梅雨・日本の梅雨
韓国と日本は同じような緯度にあるため、大きく見るとよく似た気候であるとい
える。
しかし、大陸にある朝鮮半島と海洋に囲まれている日本では違いも大きい。例えば、梅雨がそうである。日本でも韓国でも梅雨はある。
両方ともオホーツク海高気圧と太平洋高気圧(韓国では北太平洋高気圧という)の気団の境に前線が出来ておこる。
日本の梅雨は沖縄では5月8日頃、南九州では5月29日、他の地域は6月5日
から12日頃にかけて梅雨入りする。そして梅雨明けば
沖縄が6月下旬であることを除けば、7月20日から7月27日頃である。韓国でも梅雨明けは7月25日前後で日本とそれほど違わない。
しかし、梅雨入りの時期は日本より遅く、6月25日頃に済州島から順に梅雨入
りする。日本よりも梅雨入りの時期が遅いのは、
梅雨前線が日本の南岸で停滞するためである。偏西風の影響と、オホーツク海高気圧・太平洋高気圧の勢力が拮抗した前線は
日本の南岸に停滞する。太平洋高気圧の勢力が強まると、前線も北上をはじめて、韓国で梅雨にはいるのである。
梅雨の時期、前線の北側では冷たい北東気流によってうっとうしい天気となる。
南側にはいると真夏のような蒸し暑さになる。
また、南海岸や西海岸では多湿な空気の影響で霧が増えるという。
梅雨は韓国にとって重要な水資源である。年間降水量が日本の半分程度で7月に
年降水量の30%が降るからである。
年降水量の60%が夏に集中して、その大部分が梅雨前線と台風なのだ。梅雨が早く終われば水不足になるし、停滞しすぎると
集中豪雨の被害がでる。
梅雨前線は太平洋高気圧の影響で中国東北地方まで北上して、消滅することが多
い。夏、この地域を低気圧が通過するのは、
前線の名残である。しかし、年によっては北上しきらなかったり、一旦北上した前線が南下して朝鮮半島上空に停滞する場合もある。
1998、9年に北朝鮮で大水害が起きたのもそのケースであったし、韓国でも大雨と洪水が全国で起き、
テレビでも「엎친데 덮친 격(弱り目に祟り目)」「물바다(一面海)」などという言葉が連発されていた。
漢江でもダムの放水により洪水警報が出され、ソウル市内の潜水橋が水没してしまった。
また、太平洋高気圧の勢力が弱く、前線が北上せずに太平洋上で消滅したような
年には冷夏となる。
満州で衰退していた梅雨前線は夏の終わりに再び復活して南下をはじめる。これ
が日本南岸に停滞すると秋雨前線と言うが、
韓国ではこれも梅雨前線とか、「걸든장마(初秋の気まぐれな長雨)」と呼ぶ。