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リビア北部の衛星写真
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写真−106
リビア北部の衛星写真
図はGoogle Earthの画面を基に編集した
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正確な地図が好きだ‥‥‥
旅行社のパンフレット類や、色々な人が書籍として出版している旅行記には必ず地図が記載されているが、正確でないものが殆どである。その点、人工衛星から眺めた地図は絶対的な信頼がおける。Google Earthで調べた走行距離は、丹念にトレースした場合、車搭載の走行距離計よりも精度はある。

「正確な地図よりも漫画チックな地図の方が分かりやすい」とか、「自分が現在どこに居るかは大事なことではない」 との意見もあろうが、私は正確な地図が好きである。旅行社のパンフレットなどには、「漫画チックな地図」 を提示してサービスと考えている向きもあるが、これは客を子供扱いしている。旅行も登山もハイキングも、基本は正確な縮尺の地図を元に計画・実行すべきと思う。

現在の地球上の人類の祖先となった「原生人類」 は、絶えず周囲の偵察を繰り返し、頭の中に地図を作りながら移動を繰り返し、全世界に根を張った。対して、同じ人類でも移動することに興味を持たなかった 「原生人類以外の種族」 は全て滅んでしまった。

なお、上図は沿岸部が縞模様になっているが、人工衛星で時間を変えて撮影したためと思われる。詳細に拡大して見る場合、この縞模様は関係なくなる。

遺跡巡り(赤い点線)の走行距離は約1630km、セブハからガダメス経由のトリポリ(黄色の点線)の走行距離は1540kmであり、これにセブハ以南のウバリ砂丘、ムーズック砂丘などの走行距離1330kmを加えると、今回の旅行の総走行距離は4500kmとなる。



(蛇足)正確な地図と設計技術者‥‥ (この項、構造設計技術者以外は読み飛ばして下さい)

構造物の設計技術者は、強度・コスト・工程・外観・安全性などを総合的に勘案する必要があるが、特に構造設計に携わる者にとって、寸法の概念がしっかりしていることは、必要かつ最重要な素養と思う。

経験のない初めての構造物を設計する場合、多くのアイデアが集まる。構造設計者は、その多くのアイデアの中から一つのアイデアを選び出し、その構造と寸法を決定しなければならない。文化系の論文では「複数見解の併記」 で逃げることも出来るが、構造物は複数案の併記では作れない。

アイデアの発案者は、自分のアイデアが優れ実現可能と思いこんでいる。しかし実際には荒唐無稽なアイデアが殆どである。

荒唐無稽なアイデアを見破るにはどうすれば良いか? それは、アイデアを概念ではなく、主要部分の寸法を極力正確にして図面を描くことにより解決する場合が多い。この場合、図面は詳細図でなく、ラフなもので良い。

例えば、大きな構造物の一部となる局部構造のアイデアが提案されたとき、その局部構造の寸法を出来るだけ正確に描いて、全体構造の中で眺めれば、そのアイデアが荒唐無稽か否か判別出来る。荒唐無稽なアイデアは全体構造の中ではバランスが悪い。

これは私の長い橋梁設計、特に架設機材の設計の経験の中から感じたことである。会社では上級の管理者が荒唐無稽のアイデアを出すことが多い。

私が正確な地図に拘るのは、このような職業的な習性によるものかも知れない。砂漠のテントの中で夜の時間が余ると、歴史のロマンと共にいろいろな事も考える。