宇宙事業団11
もしロケット打ち上げに失敗したら、周囲にご迷惑をかけず自爆する仕組みに。
見事打ち上げに成功すれば、人類史上初のプライベーターの力で宇宙ロケットを打ち上げた英雄(?)として、あなたの名前は多分歴史に残るでしょう。
でも、ロケットをナメてはいけません。
国の威信をかけて進められてきたロケット開発でさえも、それは失敗の連続の積み重ねといっていいぐらい、一皮むけば死屍累々のありさまなのです。
マイナス思考はいけないとはいっても、「失敗」の二文字は常に頭において計画を立てておかなければなりません。
液体水素や液体酸素を詰め込んだり、固体ロケットでも基本的に爆発物を扱いますから、ロケットそのものがまず非常に危険な代物です。
少なくとも推進剤を入れるところから打ち上げまでは、人里離れた所でやるようにしてください。
世界の打ち上げ基地を見ても、砂漠の真ん中だったり、海の中に浮かぶ離れ小島だったりと、結構気をつかってます。
発射場はできるだけ広い方がいいし、発射方向に民家などがあっては困ります。
だから、発射場から東方向に何があるか、事前によく調べておく必要があります。
打ち上げ時の失敗ばかりではなく、ロケットが飛行中に突然失速したり、爆発することも考えられなくもありません。
なにしろ国境に関係なく飛んで行きますから、いつどこに落っこちてくるか分かりません。
ですからロケットの軌道は、なるべく海の上になるように設定しておくのがよいです。
実際に今あるロケットも陸地ばかりではなく、海洋上にある石油備蓄基地にも落ちることがないように計算した上で打ち上げられています。
途中で切り離すロケットの一段目や二段目もちゃんと海上に落ちるように考えてあるのです。
万一、よその国の大都市にロケットが落っこちたらどうなるでしょう。
実質的にはミサイル攻撃したのと同じですから、大変な国際問題となるでしょう。
下手をすると戦争が始まってしまうかもしれません。
特に一触即発に地域では、最新の注意が求められます。
世界で8番目のロケット打ち上げ国となったイスラエルの場合、東側はアラブ諸国ですから、万に一つもそこにロケットが落っこちたり、切り離したロケットの残骸が落ちるようなことがことがあってはなりません。
そこで、わざわざロケットの速度を犠牲にしてまで、西側に向かって発射しました。
さすがにこれは世界でも非常に珍しいことです。
もしロケットが軌道を大きく外れたり調子がおかしい時は、地上から指令を送って自爆するシステムになっています。
華やかに見えるロケットも自ら命を絶つためのドスを飲み込んで決死の覚悟で飛び立っているのです。