宇宙事業団10
赤道近くから発射してロケットを加速、打ち上げた後は自動制御で成り行きまかせ
さて、無事ロケットが完成したら、いよいよ打ち上げです。
打ち上げ場所は、なるべく赤道近くのスポットを選んでください。
というのは地球の自転速度が、赤道では秒速465メートルで最大になるからです。
自転方向は東向きですから、東向きにロケットを打ち上げれば、出発時すでに速度を追加することができるのです。
また同じ性能のロケットであれば、赤道上から打ち上げると北極や南極で打ち上げるよりたくさんの荷物を積むことができます。
北緯28度にあるアメリカのスペースシャトル打ち上げ基地、ケネディー宇宙センターよりも、北緯5度にあり、ヨーロッパが共同開発したアリアンロケットを打ち上げている南米フランス領ギアナ・クールー基地の方が、12パーセントも重い人工衛星を打ち上げられるのです。
いくらたいした荷物を載せることがないとはいえ、素人の手作りのロケットであれば、
少しでも速度をつける為に、なおさら赤道の真上から打ち上げるようにしたいものです。
ロケットを打ち上げる際には、気象条件も大きく左右されます。
軍用ミサイルは頑丈にできているので、どんな嵐の中でも必要とあらばいつでも飛び出せるように作られています。
ところがロケットの速度を出すためにも、また最小限のスペックで最大の荷物を宇宙に運べるように、ギリギリに設計がなされています。
天気が悪いと風、雨といった不確定要素が多くなり、思った通りの軌道に乗せることが難しくなります。
雷に打たれて落っこちてしまったロケットもあるぐらいです。
異常な暑さや寒気、高い湿度も不測の事態を招く可能性があるので、雲行きがおかしかったら勇気をもって、キッパリ打ち上げを中止する決断を下してください。
ロケットの打ち上げ風景を見てみると、先端を真上に向けているのに気付かれたことと思います。
これは空気抵抗の強い大気圏をなるべく早く通り抜けるためで、ある程度の高度に達すると補助エンジンを軽く噴射して、機体を少しずつ横に寝かせていきます。
ロケットの姿勢を整えるための燃料噴射のタイミングや噴射時間は一昔前は地上局から電波で指令を送ってコントロールしていました。
しかしコンピューターのダウンサイジングが進んだため、今ではロケットに積んだジャイロスコープと加速時計の情報をコンピューターで計算して、その結果をもとにロケットが自分で運転する仕組みになっています。
エンジン噴射口の首振り角度や、推進剤の噴射量は、こうして自動的にきまられていきます。
これまでの記述だけではもちろんロケットが完成するはずもないのですが、なにしろスペースが限られています。
形状や材質など細かい話は、なんとか自分で勉強してみて下さい。
ただし、ロケット迫撃砲を作ると誤解されて、当局に付回される身になっても当研究所は一切関知いたしませんのであしからず。。