Doctorからのメッセージ
2010年6月
大分県立病院副院長
田代 秀哉
乳がん検診に行こう
悲しいことに、がんの増える勢いが止まりません。男女共に二人に1人ががんに罹る時代に突入しました。また女性の生涯乳がんリスクは18人に1人と推計されています。どんな病気にもなりたくないのは当たり前の人情です。
がんは細胞の設計図である遺伝子の異常で起こると考えられています。長生きをすればそれだけ遺伝子異常が積み重なってがんは起こりやすくなるでしょう。自然的に、また人為的にも遺伝子異常は引き起こされます。
がんの原因究明が進めば、予防が可能になってきます。肺がんにおける禁煙、子宮頸がんに対するヒトパピローマウイルスワクチン、胃がんに対するピロリ菌除菌などがこれに当たります。こうした対策によりがんはかなり減少すると期待されています。
ところで乳がんの危険性を高める要因にはどのようなものがあるでしょう?これまでの研究で強い影響を及ぼす要因として女性、年齢、遺伝性乳がん遺伝子変異、家族性乳がんの家族歴、乳がんの既往、異型過形成の既往などが確かめられています。残念ながらこの中には防ぎようがある原因は見当たりません。また乳がんリスクの高い女性にある種の薬剤を処方すると乳がんが約半分に減ったという結果を示した先端的研究はありますが、まだ日本では認められていません。つまり現状では有効な乳がん予防策はないことになります。
予防が無理なら次は苦しまないで済むことは可能でしょうか?お勧めはマンモグラフィ乳がん検診を受けることです。あちらこちらでこの話をしていますのですでにご承知の方も多いと思いますが、検診を受けることで乳がん死亡が25%減少するということが欧米の資料で分かっています。検診を受けると早期(0〜T期)の病気が見つかるようになります。1000人が検診を受けると約3人のがんが見つかっています。また精密検査が必要と言われた100人のうちで約3人にがんが見つかります(2005年)。大分県立病院の統計では65%の方が早期の乳がんで(10年前の約1.5倍)、また約40%の方が検診経由で受診されています(10年前の約4倍)。早期に病気を見つけると、抗がん剤などの辛い治療を受けずに済むことも多く、なにより90%以上の方が完全治癒します。
ただ、まだまだ乳がん検診受診率は15%程度(大分県は20%程度)と不十分で、検診の効果を引き出すためには早く50%にする必要があります。40歳以上の方は2年に1回、住民検診もしくは人間ドックを開設している医療機関でマンモグラフィ検診を是非受けていただきたいと思います。友達やご近所の方を誘って、さあ、みんなで乳がん検診に行きましょう。