アジアスローな旅 〜中国大陸初上陸
H.N
韓国の仁川港から中国の天津新港までは、フェリーで丸一日。幸いシケも無く、大型フェリーなので揺れも殆ど気にならず、快適な航海だった。船内にレストランもあったが、売店でインスタントラーメンを買い、ソウルで買ってきたキムパプや餃子と一緒に食べた。熱湯は無料のサービスがあり、我々(夫・私・娘の3人)はインスタントラーメンに、中国人は持参のお茶専用のガラスポットに入れた。
 天津新港に夕方着いたらしいが、しばらくアナウンスも無く、船内待機。ようやくぞろぞろと乗客が降り始め、税関を通ったのが夜9時過ぎ。入国審査の時、隣の列に並んだ娘は、若い女性の係官と何やらもめている。後で聞くと、「パスポートの写真は別人だ。」と言われ、なかなか信じてもらえなかったそうだ。その時初めて見せてもらった娘のパスポートの写真は、短大時代の髪をカールしたお嬢様風。現在はショートカットのスッピンで、ボーイッシュな中学生風。夫も「これじゃあ無理ないわぁ。」と言って笑った。
港の建物の外へ出ると、夜10時も過ぎ、すこぶる寒い。ツアーの人達だろう、大きめのバスに乗り込み出発していく。私達のいでたちを見て、タクシーの客引きが群がる。特大リュックを背負った中年夫婦と、体より大きいトランクを引っぱる娘。どう見てもリッチなツアー客ではない。始めは天津の街まで300元(約4500円)と言っていた客引き達も、200元にまで値を下げた。夫はタクシーよりバスだと言って、何人か乗っているマイクロバスに乗ろうとするが、断られた。予約がないとダメらしい。若いまじめそうなタクシーの運ちゃんが、150元で行ってくれるというので、オーケーして乗った。
天津の街は遠かった。夜中になってしまい、とても寒いので、ホテルは交渉一軒目の、我々貧乏旅行者には少し高めの220元(トリプルで)の部屋に決めた。この時初めて知ったのが押金(ヤーチン)。何かあった時の保証金のようなもので、たいがいは返金されるのだが、初めての事で、「なんだ!交渉額と違うぞ。」と、かなり揉めた。学生時代に1ヶ月の中国留学経験のある娘がヤーチンの仕組みを思い出し、その場は一件落着。暖かいベッドで熟睡した。
 翌日は天津の街を散策。勤め人風が大勢出入りする食堂を発見。フードコートになっていて、それぞれの店員が待ち構えるカウンターの頭上には、美味しそうな麺類・餃子・シュウマイなどのパネルが並んでいる。これ欲しいとパネルを指差しても、何やら言い返され、作ってくれない。と、周りの中国人がカードを渡しているのが見えた。先ず、レジでカードを買い、各カウンターで欲しい物を告げてカードを渡すのだとわかった。メニューは漢字なので、『蝦』という字があったら、材料はエビだろうと憶測して、何とか無難に頼めた。おかずと思ったのがデザートで、かなり甘かったという失敗はあったが。3人とも、朝からたっぷり食べて、何と食事代の安いこと。100元のカードのおつりが、72元もあった。中国の食文化を気に入った最初の体験だった。
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