日本の時刻制度は天智天皇の御代、近江大津京の漏刻(水時計)より始まる。漏刻台には、天文台が併設され、日夜天体の観測が行われ、それを基に暦が製作されていた。大宝律令に定まる八省中、中務(なかつかさ)省には陰陽寮があり、漏刻博士・天文博士・暦博士の職が置かれ、それぞれ20人の技師が配属されていた。天文と時刻、暦は不可分のものであり、宇宙の運行を万人が共有し、国家の経営と、社会と生活の指針とされていたのは、古代よりのことであった。暦は、今日の技術をもってすれば、瞬時にして過去のあらゆる時間と、数万年の未来の一日を顕すことが出来る。暦を道しるべに、最良の一日を送られますことを祈念いたします。
ここに平成二十三年辛卯の年を迎える。昭和より八十六年、大正からはちょうど百年にあたる。
本年は昭和十六年の日米開戦から七十年。敗戦となって終結し、講和条約調印より六十年。戦後復興が高度経済成長へと飛躍する起点となった池田内閣の所得倍増計画の第一年は五十年前の昭和三十六年。高度成長の一つの節目となった円・ドル固定レート一ドル三六〇円から三〇八円への切り上げから四十年。また旧ソ連解体による社会主義幻想の崩壊から二十年である。反対にさかのぼるとちょうど百年前の一九一一年、明治四十四年に中国では辛亥革命。二十世紀が革命と戦争の時代であったことを如実に物語っている。そして昭和中後期は敗戦からの復興の歩みであった。 マルクス・レーニン主義が世界を席巻し、二十世紀の世界の動乱のあらゆる場面で原因、発端を作り、スターリンからポル・ポトに至る悪逆無道をもたらしたが、ベルリンの壁崩壊からソ連解体に至って、社会主義の理想は幻想でしかなかったことを多くの人が認めるようになった。今後は、二十世紀という悲劇と暴虐の百年として、歴史の中に刻み込まれていくのであろう。日中戦争の発端も中国共産党の謀略にあるといわれ、他の事件にもソ連の謀略説が見え隠れしている。日本の戦前戦中史もそのような国際共産主義の世界戦略と列強の植民地争奪戦のなかでの生き残り策のもたらしたものであった。
そして本年、平成二十三年辛卯七赤の年の年柄。
卯は木気の陰であり、陰暦二月、仲春を表す。時刻は朝の六時、方位は東である。草木が発生して地面をおおいかぶさるように繁茂し、伸長してきた状態を表す。天地一切万物の成長が盛んになっている生成発展・生成化育の象である。また卯の文字は左右に開いた門の形を象形し、門を開いて万物が現われ出る意を表わす。また同形の物を左右対称に置いて等価の物に交易する形を表わすともいわれ、貿の古字ともいう。貿易によって世界が存立している現代を象徴する文字ともいえようか。
易卦では卯は雷天大壮という。陰陽相半ばする地天泰の寅に続き、陽の気が更に伸張、強大な天の上に震動する雷があり、壮んな陽の気の進出を象徴する卦である。太陽光がだんだん強くなってくる春の半ばを表している。生気の発動が最も期待される地支であり、十二支のうちでもことに重んじられる。収穫感謝と太陽の復活新生の祭である新嘗祭は元来は十一月の中の卯の日に行われた。祈年祭は卯の月である二月だが、古くはその四日に行われた。この四日というのももともと卯が十二支の四番目であることにちなむとする説がある。
陰暦四月の和名である卯月の意味や語源は、他の月と同様明らかでなく諸説紛々としているが、これまた卯が十二支の四番目であることと関係があるとする説もある。旧四月では初夏になってしまうが、現に漢代以降現代に至るまで陰暦十一月が子で正月が寅、卯は二月だが、周代の暦では一月が子で、卯は四月であった。卯の古体は四の古体と似ており、もとは同字であったともいう。
注連縄や玉串につける紙垂は通常四垂れにし、また注連縄には四本づつつける場合が多い。また四度拝、四拍手などの拝礼の仕方がある。卯との関わり如何はともかく、古くは日本では四(及び八、十六・・・)という数字は聖数とされた。「いよいよ(愈々)」が「よ」の語源とされ、母音交替して「や」(八・弥)である。末広がりに増え拡がっていく意味の語であり、神道で重んじられる生成発展を表している。
十二支の卯を動物に当てはめて兎とされ、卯年はウサギ年ともいわれるが、ウサギといえばすぐに思い出されるのは、因幡の白兎の説話、また月で餅をつく兎であろうか。白兎は神であり、生き皮をはがされた白兎が助けられたのは擬死と再生復活を象徴する。そして神である白兎は助けた大国主命に対し瑞兆を予祝する。
日本で月で兎が餅をつくといわれるのは餅が聖なる食べ物であったことに関わる。中国では不老不死の仙薬をついているとされる。インドでは兎は帝釈天の眷属とされ、仏説では満月の夜に兎が現われて慈悲を説くといわれる。また兎は月を見て子を孕むともいわれ、多産と豊饒の象徴ともされる。月と兎との結びつきは世界の多くの神話伝説に多いが、月の模様の見立てだけでなく兎が瑞獣と見なされることが多かったのであろう。
そして十干の辛は金気の陰。辛は「新」であり、万物新生、今までとは違った新しい段階、新しい状態に至ることを表わす。辛の文字は鋭い刃物、ことに入れ墨をする鍼の象形といわれ、その原義は刃物で切り刺す意。傷つける・つらい・罪・罰するなどの意味がある。刑罰、闘争、犠牲などの厳しい意味につながる。転じて十干の表わす植物の化育の循環過程の上では、秋の終りの万物成熟の極みに実から更に草木が死して新しい状態になろうとすることを表わす。
九星の上では七赤金星。これも秋。金属の精緻さを表わし、辛の字義に通ずるものがある。七赤は兌宮であり、兌換すなわち交易商売を表わす。商業ないし産業経済の上で収穫の時を期待できるか否かは、卯と辛とのせめぎ合い如何にかかっているといえようか。生成発展、万物隆盛を表わす卯と、殺傷・辛苦・更新を表わす辛。新時代への改革過程において対立、矛盾、抗争等の問題点が生ずるなかで、木気の旺盛なエネルギーが矛盾や抑圧を取り除き、犠牲を払って断固として更新実行していくことを表わしている。
現実社会に当てはめてみると、多難な現代の守旧と革新との対立を表わしているかのようである。改革ということばばかりがもてはやされるが、何をどう改革するのかが問題である。改革の過程には犠牲も出る。失われるものは何か。快い言葉だけに引かれることなく負の面をこそ真摯に見極めなければならない。甘い言葉だけで突き進んだ挙句に、失ってはならないものを失って大打撃を与えることもある。犠牲や失うものはなく発展だけが見込まれるという虫の好い予想図はない。守るべきものは断固として守った上で、戦略的観点からあるべき変革の姿を探り求めてゆかねばならない。
平成二十三年辛卯七赤の歳柄
近 江 暦
日々の指針
平成二十三年の恵方 あきの方 巳午の間(南南東)
歳 徳 神 歳徳神は一年中の方徳を司る神にして此の神の
方に向いて進路を開けば万事大吉とし恵方(えほう)という
平成二十三年辛卯七赤金星 紀元 2671年
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近 江 暦
二十四節気
小 寒 1月 6日
大 寒 1月20日
立 春 2月 4日
雨 水 2月19日
啓 蟄 3月 6日
春 分 3月21日
清 明 4月 5日
穀 雨 4月20日
立 夏 5月 6日
小 満 5月21日
芒 種 6月 6日
夏 至 6月22日
小 暑 7月 7日
大 暑 7月23日
立 秋 8月 8日
処 暑 8月23日
白 露 9月 8日
秋 分 9月23日
寒 露 10月 9日
霜 降 10月24日
立 冬 11月 8日
小 雪 11月23日
大 雪 12月 7日
冬 至 12月22日
目 次
帯祝い 七夜の祝いと命名
初宮詣 お食い初め
初節句 初誕生
虫封じ・七五三詣・入学・卒業式・十三詣
成人式・結婚式
結婚記念日
忌服について
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電話 077-522-3725