美星天文台
ペンションの宿泊客は3組と意外に少ない。うち、1組はここで宴会をする予定らしく、火星を見に来たのは我が家とあと一組だけだった。この分だと天文台も空いているかも知れない。しかし、夕食後、風呂は後回しにして天文台へと向かう。これは、ペンションの管理人さんの助言に従ったものだが、後で正解と判った。宿泊客は少なくても、福山や倉敷方面から天文台へと大勢押し寄せて来たのである。気になる天気の方は、夕食前には雨は上がっており、わずかに夕焼けが見えていた。まだ雲が厚いがもしかしたら晴れ間が見えるかもしれない。
駐車場から天文台への道は、2カ所ほど蛍光灯が設置してあるだけで、足下は真っ暗である。こんな事なら懐中電灯を持ってくればよかった。ただ、息子達はクワガタ採集で慣れているのか、怖がる様子もない。
天文台の施設は二つあり、手前はスペースガードセンターのものであった。地球へぶつかる天体がないか観測をしている施設だ。一般公開している施設はさらに奥にあった。煌々とした明かりはつけておらず、薄暗い感じである。
美星天文台の入り口。
18時以降   300円
入場料:16時までは、中世夢が原と共通

大人800円子供500円
火星が見えた!
天文台の職員によると、今日は雲が厚く火星を見るのは無理と思って欲しいとのこと。そのかわり、午後8時から火星についての講座が開かれる。パソコンとプロジェクタを使用した説明で、判りやすい。この講座が終わったのが午後8時30分頃。ここで、朗報がもたらされる。火星は見えないが天頂付近に星が見えると言う。さっそく望遠鏡のあるドームへと移動だ!
ドームへ行くためには一旦ベランダに出なければならない。ここではじめて美星町の星空を見た。全体として非常に暗い空である。こんな空は今まで見た事がない。その中で真上を見上げると、見えた!ベガだ!段々と目が慣れてくるにつれて、さらにおびただしい数の星が見えてきた。夏の大三角が判る。その中にぼうっとした感じの、星の集まりらしきものが見えた。あれが天の川か。なるほど、枚方では見えない訳だ。非常に淡々とした光である。あわてて写真を撮ったが、すぐに雲に隠れてしまった。火星はまだ見えない。
天頂付近の写真。すぐに雲ってしまい、まともに撮れたのはこれ一枚。

美星町の夜景。町内には明かりはほとんどなく、山の端が明るくなっているのは岡山市方面の明かり。
光害と書いて「ひかりがい」と読む。夜間の照明により夜空が明るくなり、星が見えなくなってしまう害を言う。何の規制もされていない都会ではこの害が著しく、例えば、大阪市内では1等星以外の星を見つけるのが困難になっている。ここ美星町では、町内は見事に規制され、見渡す限り明かりらしきものはほとんどない。しかし、東や南の方角はわずかながら明るくなっている。天文台の職員の説明によると、岡山市や福山市の市街地の明かりで、遠く宇和島の明かりまで見えるという。人工の照明の恐ろしさ。
時刻が午後9時を回る頃、東の空に雲の切れ間が見えだした。火星が見えるかも知れないという期待が高まる。この日天文台を訪れていた人は200人程。そのほとんどが東の空に注目している。やがて、雲の切れ間から明るい星が見えてきた。「火星だ!」ドームを取り巻く人たちから一斉に声が上がる。ドームが火星を狙って動き出す。職員から、「ただいま望遠鏡が火星を捉えました。大勢の方に見て頂くために一人20秒程度でお願いします。」とのアナウンスが出る。これを合図に、行列が動き出す。しかし、雲の動きが早い。せっかく見えた火星が霞み出す。我が家がドームに入った時点で、外からため息が漏れてきた。どうやら完全に雲に隠れてしまったようだ。行列が止まりそのまま待つ事約20分。外の様子が見えないのがもどかしい。やがて外で歓声が上がる。再び火星が姿を見せたらしい。行列が再び動き出す。我が家の順番まで隠れないでいてくれよ。ドームのスリットから見ると、雲はあるものの火星はまだ見えている。やっと順番だ。長男、次男、妻の順に望遠鏡を覗き、私の番が回ってきた。口径101pの反射望遠鏡の威力は素晴らしく、さすがに美しい。見かけは直径1p程度の大きさだが、表面の模様はくっきりと見え、白い極冠もはっきりと識別できた。この瞬間、今回の旅行のメインテーマは達成された。
口径101pの反射望遠鏡を備えている。


美星天文台の位置
美星天文台ホームページ



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