コクワガタ・スジクワガタ・ネブトクワガタの♀の見分け方
クワガタムシの雌というのは大抵の種類で似たような姿をしており、見分けるのが難しい。中でも、身近なクワガタでありながら特に雌が良く似ている3種類について見分け方を紹介する。なお、ここで紹介する見分け方は私のオリジナルではなく、昆虫フォーラム5番会議室で教わったものである事を明記しておく。
コクワガタの小型の雌とスジクワガタ、ネブトクワガタの大型の雌は、大きさがほぼ似通っているうえに背中に明瞭な筋がある点で共通しており、この3種類を見分ける事は容易な事ではない。しかも、同所的に居る事があるので、紛らわしい事この上ない。なおかつ、この3種類はそれぞれ産卵セットの方法が異なるため、ちゃんと見分ける事はとても重要になってくる。
左からコクワガタ、スジクワガタ、ネブトクワガタ。一見しただけでは区別は難しい。
まず、コクワガタとスジクワガタの見分け方から始める。コクワガタも大きな個体だと一見してスジクワガタとは区別が付くが、小さい個体はスジクワガタの大型個体とほぼ同じ大きさになる上に前翅にスジが入ってくるので、非常に紛らわしい。この2種類を見分けるポイントは前足の脛節にある。コクワガタの脛節が比較的直線的なのに対し、スジクワガタのそれはやや扇形に広がっており、曲線的である。個体によっては微妙な差となる事もあるが、見分けるける事は概ね可能である。
左がコクワガタ、右がスジクワガタ。
コクワガタの脛節が直線的であるのに対して、スジクワガタの脛節が末広がりに曲線を描いている事が判る。
次にネブトクワガタの区別のポイントに移る。ネブトクワガタと他の2種類を見分けるポイントは2つある。 
一つ目は大顎の形状である。スジクワガタやコクワガタの大顎の先が鋭く尖っているのに対して、ネブトクワガタの大顎はバチ状になっていて尖っていない。ただ、これは明るい場所でじっくり見ないと区別が困難で、夜、雑木林の中で見分けるのはなかなか大変である。
二つ目のポイントは前胸と前翅の境目である。ネブトクワガタはここがほぼ一直線であり隙間がないのに対し、コクワガタとスジクワガタは曲線的であり、隙間も多い。この違いは判りやすく、区別がしやすいポイントだと思う。
左がスジクワガタで右がネブトクワガタ。大顎の形状と前胸と前翅の境目の違いに注目。この2つのポイントを押さえておけば、区別も容易になる。
以上が三種類のクワガタの雌を見分けるためのポイントである。一度知ってしまえばどうという事もないが、私は昆虫フォーラムで教えてもらうまではこの三種類の雌の同定でいつも迷ってばかりいた。他にも同じような思いをしている人が結構居るのではないかと考え、ここに紹介する事にした。これをご覧になった方に少しでも参考になれば幸いである。