夜に廃墟の写真を撮るといかにも心霊廃墟を撮っている感じがあって好きだ。
構図はどうとか、色がどうとか、光の具合がどうとか、ハッキリ言ってどうでも良い。
写真を撮る行為はただの記録になるし、ハッキリ言ってしまえば、ついでに写真を撮る感じになる。
この夜廃墟の緊張感がゾクゾクする。
これなら目に見えないものも見えてしまうのも無理はない。
心霊は目で見るのではなく、心が描く霊なのだから、見える見えないには個人差がある。
私はきっと心が汚れているから心の目は開かないのだろう。
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気温1℃、寒風の音がうっすらと見える山の輪郭から吹き下ろす。
その風が割れている窓に吹き込み低い音を鳴らす。
「うぉー」
残念ながら姿は見えない。
見えないがハッキリと聞こえる。
雨で溜まった水がゆっくりと建物の中を下へ下へと浸透していく。
行き着いた地下では、天井から水が滴り落ち、ピチャンと跳ねたかと思えば、金属などに跳ねた水がキャチャーンと音を鳴らす。
まるで子供の遊び声の様だ。
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後ろの人が当てた懐中電灯の光で自分の影が壁に小さくうっすらと映る。
懐中電灯の光が横にスライドしたかと思うと、影も横にスライドした。
小さく映った影はまるで女性か老人が移動したかの様なか細さだ。
なんて恐ろしい場所なんだ。
幽霊だらけではないかこの廃墟は!
これでオーブでも写れば完璧だ。
しかし残念ながら私のカメラはレンズの大きな一眼レフ。
コンパクトカメラでフラッシュをギンギンに焚けば、埃やチリに反射したオーブが映ってたものを、
私としたことがっここを撮影するカメラの選択を誤った様だ。
などとブツブツ言っている俺に対し同行者から「ブツブツ言ってこえーよ」と言われる始末だ。
夜の廃墟では、昼間には見えないものが多くあるものだ。
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