<寄稿>韓国語 がかっこいい
−韓国へのプラスイメージ反映 日比谷高校で −
民団新聞2005年3月2日
民団新聞に寄稿した記事です。これま での授業記録を元にまとめたものです。

都立日比谷高校では2年生になると、外国語の自由選択科目として韓国語を学べる。多い年 で30人、少ない年 で15人程度が受講している。この4年間で韓国に関する情報量が格段に増え、それにつれて生徒の受講動機も大きく様変わりしてきた状況について同校で韓国 語の授業を担当している武井一さんに寄稿してもらった。
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2001年、まだ韓国に関する情報はそれほど多くなかった。ほとんどの生徒が 「言葉ができたら韓国へ行ってみたい」と答えた。

ところが、2002年になると、「隣の国の言葉だから」、「ハングルを読めた らかっこいい」、「町中に多くいる韓国人と話をしたい」、「韓国にいる知り合いと韓国語で話したい」と急に具体的なものになった。彼らにとって韓国語が 「かっこいい」存在になったのだ。ワールドカップで韓国に関連する情報が多く流されて、韓国語を耳にする機会が増えたからであろう。

韓国の映画やIT事情などが紹介されるようになった2003年には、「映画を 字幕なしで見たい」、「IT先進国の韓国でITを学びたい」、「韓国のPCバンでネットゲームをしたり、ホームページが読めるようになりたい」、 「NIESの一員であるため、将来、学習したことが役立ちそう」など、言葉だけでなく、韓国の進んだ面に目を向けるものが増えた。

そして2004年。韓流ブームなどでテレビから1日中韓国語が流れるように なった。「実用性がありそう」、「韓国語を通じて日本以外に視野を広げたい」、「日本に一番近く、発展しつつある国だから」、「韓国料理が好きだから」、 「韓国語が使えるようになったらすばらしい」、「BoAの歌を韓国語で聞き取りたい」など、その関心の幅はかなり広くなった。

日比谷高校で韓国語の授業が始まった97年、生徒の募集にかなり苦労した。 「なぜ韓国語『なんか』勉強するのか」という雰囲気だったからだ。だが、今の高校生にとっての韓国語は、「実用性がある」「かっこいい」外国語の一つと なった。4年間で生徒の韓国に対するイメージも広がりをもつようになった。韓国を「先進国」、「発展しつつある国」としていることは隔世の感がある。

生徒の動機が多様になったことで、授業も工夫が必要になった。韓国をめぐる様 々な側面を紹介する必要があるからである。もちろんこれには在日のことも含まれる。語学の授業だから、それとなくしか触れられないが、かえって新鮮で関心 をもつようである。

高校時代は人生の中でもっとも社会の動きに敏感になる時期である。授業を通じ て、最初の時とは違う側面に関心をもつ生徒も多いであろう。大学進学後、韓国語の学習を続けたり、韓国へホームステイなどに行く者もいるようだ。同じよう に日本や韓国の社会や文化などにも目を向けられるようになるとよいと思う。

一つ気がかりなのは、生徒の受講動機が韓国に対する社会の雰囲気に密接に関係 していることである。今後、韓国に対するイメージが悪くならないよう願ってやまない。

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