高校時代になぜ第2外国語を学ぶのか (概要)
−日比谷高校のハングル授業を中心として−
※ 本稿は第55回讀賣教育賞(外国語部門 2007年)に応募した ものである。応募作全文はこちらへ (PDFファイ ル)

は じめに

筆者は都立日比谷高等学校の非常勤講師として地歴・公民と韓国語(ハングル)を担当している。高校の中にはいわゆる第2外国語をおいている所が多い。日比 谷高校にも講座がある。日比谷高校のような進学校で第2外国語を学ぶ意味はどこにあるのだろうか。それをハングルの授業を中心として、卒業生のインタ ビューなどをもとに考えることにした。

第1章 日比谷高校の第2外国語
日比谷高校の第2外国語はドイツ語・フランス語・中国語・韓国語の4講座である。ドイツ語・フランス語は戦後すぐに置かれた。中国語は一度設置されたこと があるが、一旦カリキュラム表から消えた。現在につながる中国語・韓国語(講座名ハングル)が開設されたのは平成9年度のことであった。開設には一人の教 諭の力が大きかった。

第2章「ハングル」の授業はどう見られているのか
志望動機の変化、授業の様子の変遷などを生徒のアンケートなどから見た。続いて授業終了後の変化についてインタビュー内容を紹介した。韓国の何に関心が向 いたか、ほかの科目の学習に役立ったことはあるか、こんな気づきがあったの3つである。

第3章 第2外国語がきっかけで関心が広がった
インタビューを元に分析を行った。生徒の関心は韓国語・韓国そのもの、英語や日本語に広がり、足下の日本にも目が向いた。言葉を知ることをきっかけに様々 な世界へ目を開いていく。関心を広げさせたのは、ハングルの授業が生徒にとって初めての科目で、自ら関われる授業だからである。しかも受験に関係ない。そ して高校生という時期に学んだことが大きな意味をもっていた。

まとめ−生徒の関心を広げる触媒としての第2外国語
生徒は第2外国語という未知の世界に初めて触れ、そのことが刺激となった。第2外国語は、単なる「もう一つの語学」ではなく、「生徒の関心を広げる触媒」 なのである。
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