150.「人も動物も、春は恋の季節」
春と言えば、陳腐な表現ですが、人間にとっても、動物達にとっても「恋の季節」で、猫達のあの悩ましい鳴き声も、夜な夜な聞こえ初めました。
そこでつい思い出したんですが、以前会社の同僚と2人で、午前と午後に分けて会社の顧客を訪問した時のことです。
午前中に訪問した家にメス犬がいて、それがたまたま発情していて、私の方に盛んに体をなすり寄せてきました。
そのメス犬は同僚の方には見向きもしなかったから、どうやら私はそのメス犬に見染めれられて(?)しまったみたいでした。
午後には別の家を訪問したんですが、今度はそこにオス犬がいて、そのオス犬がやはり私の同僚には見向きもせずに、私に猛烈なアタックをかけてきました。
犬は私の匂いを散々嗅ぎ回ったあげく、不作法にもいきなり両足を私の下半身にもたせかけて、せかせかと妖しい動きを始めてしまったのです。
そしてあろうことか、私はパンツにそのオス犬の愛の証しをたっぷりと受け入れてしまいました。
今ではズボンをパンツと呼ぶのがすっかり定着してしまっているので敢えてパンツと書きましたが、私がここで述べるパンツとはズボンのことで、下着のパンツではないことをはっきりとお断わりしておきます。
下着のパンツと誤解されたら、「おいおい、お前は下着ひとつでオス犬と何をやらかしたんだ」と言われそうなので、念の為に。
私はその家のちょっと美人な若奥さんが笑いこげながら見ているものですから、その犬を蹴っ飛ばすわけにもいかず、ただうろたえながら、犬のなすがままにわが身を任せていました。
後で知ったんですが、オス犬には特に発情期というものはなく、発情したメス犬の匂いを嗅いで初めて、その気になるらしいですね。
発情したメス犬に午前中にたっぷりとすり寄られて、そのメスのフェロモンまみれだった私は、まるで私自身がメス犬状態だったわけです。
会社に戻ってから私は、「今日は犬にもてもてだった」と吹きまくりましたが、後で冷静に考えてみると、午前中の犬はメスだったのでもてたと言えないことはないが、でも午後の犬はオスだったから、なす術もなく身を任せて最後の一線を越えられてしまった私は、ホモだったということでしょうか?
動物と違って人間は、そちらの方に関しては極めて無節操で、恥も外聞もない特異な存在ですから、殆ど1年中が発情しっぱなしの「恋の季節」と言っていいでしょう。
私を除くおおかたの人達が、しょっちゅう発情しているという事実がそれを証明しています。
人間に比べれば、犬や猫、猿といった動物達の方が、発情期という摂理に支配されている分、人間よりもはるかに節度、節操がある生き物と言えるんじゃはないでしょうか。
とは言っても、犬、猫、猿などの動物の「発情期」には非常に厄介な側面があることも確かです。
それはその時期になると、「今発情しています」という極めてプライベートで、どちらかと言えばひた隠しに隠しておきたいシグナルを第三者の前にさらけ出してまうことです。
例えば猿のメスは、発情期になると、お尻が真っ赤に腫れ、それを見た雄が発情して、子作りの行為に及ぶ(らしい)。
犬のメスには、年に2回ほど発情期が訪れるが、その時は落ち着きがなくなり、陰部の腫れが見られる(らしい)。
猫のメスは、年に4回ほど発情期があり、甘い鳴き声を出してオスを誘います。
尤もそれらの動物達には本来羞恥心などは存在しないわけですからそれでいいとしても、人間の場合は、例えば顔にその兆候が現われたら大変困ったことになります。
例えばその時期にになると、男も女も鼻の頭が赤くなると考えたら、これはもう大パニックです。
そこで鼻の頭の赤いのを隠す為にマスクを付けることになりますが、風邪をひいてマスクを付けて外出しても、「発情期」と誤解されかねません。
ましてやマスクを手放せない花粉症の人はたまったものではないでしょう。
杉花粉の飛ぶ季節と、いわゆる動物の発情期とが同時期に重なっているのですから。
人間は猿から進化したのですから、遠い昔の猿人や原人の頃には、メス猿のようにお尻が赤く腫れた時期もあったかも知れません。
人間には発情期なるものは存在しないということになっていますが、その代償として常に、発情しっ放しという試練(?)に耐え続けなければなりません。
ところが最近、ちょっと気になる情報をつかんだのですが、人間でも、女性には 月に一度は発情期のようなものがあるそうです。
恥ずかしいのでここではあまりはっきりとは書けませんが、「女性は月に一度排卵の時期になると、エストロゲンという女性ホルモンがピークになる。エストロゲンが増加すると、 肌の艶もよくなり、目もきらきら輝き、女性は非常に美しくなる。しかも性欲が増す 」 ということらしいです。
女性に向かって冗談にも、 「最近肌がきれいになったね。目も輝いているし、何かいいことがあったの?」 なんて訊くものじゃありませんね。
平成16年4月5日