142.「騙され易い奥様方へ!」
 この文章をアップロードしようとしている時に、"オレオレ詐欺"の犯人達の裁判の判決情報がもたらされました。
主犯の21歳の男には、懲役5年の実刑が言い渡されました。
今年4〜5月の1ヵ月半で、22人から、3千800万円を騙し取ったそうです


"オレオレ詐欺"の被害が、猛烈な勢いで拡大しています。

 
 お陰で被害をこうむったのは、家族に対して平素、電話口で「オレオレ!」で通している人達です。
ある息子が電話口に出た父親に、「オレオレ!」と言ったら、「"オレ"では分かりません。どちらのオレ様でしょうか?」と本気で訊かれたそうです。


 先日テレビを見ていましたら、 「"オレオレ詐欺"は1年程前からはやり出した」などととぼけたことを言うコメンテーターがいましたが、こういう的外れなことを言うマスコミ関係者がいるくらいだから、一般人の中に"オレオレ詐欺"のことを知らない人が多勢いても不思議ではありません。
 
 
 私の記憶もあやふやですが、少なくとも5年ほど前から既にこの詐欺手法は、折に触れて報道されていました。
報道の仕方にも問題があって、"エイズ"報道のように、ある時期に集中して各メディアが一斉に報道するのですが、熱が冷めるとパッタリと報道しなくなるので、情報が一般に定着しないのでしょう。
 
 
 今年は10〜11月が「オレオレ」報道の最も盛んな時でした。
今や報道フィーバーは終息しつつありますが、この詐欺は決して下火になった訳ではなく、今も連日どこかで行なわれているに違いないので、くれぐれもご油断なく。
 何しろ犯人が捕まっても捕まっても、次々と新たな模倣犯が出てくるので、始末が悪いのです。

 

 しかし連日これだけ報道されても、新聞も読まなければテレビのニュースも見ないおじいちゃん、おばあちゃんの中には、知らない人もかなりいるようです。
 

 私の家の近くのいつも歩いて通る道筋に、数年前におじいちゃんを亡くしてひとり住まいをしているおばあちゃん(80歳位ですが、とても元気でボケの徴候すらありません)がいますが、半年ほど前に工事屋が入って、建物の基礎の、換気孔に取り付けてある"鉄の桟"の上に金網を貼り付ける工事をしているのを見たことがあります。
 私は不審に思っても、おばあちゃんとは言葉を交わすような付き合いではないし、また余計なお節介なので黙っていましたが、おばあちゃんが悪徳業者に騙されていることは直ぐにピンときました。

 
 丁度その頃メディアで、「屋外の排水詰まりの調査」、「基礎の換気孔から虫が入らないようにする為の金網取付」、「床下に湿気がこもるという理由で床下に換気扇取付」、「床板が腐っているという理由付けで床の補強」などの強引な営業活動をする悪徳業者の報道が盛んにされていたからです。


 私は家に帰ると直ぐに、妻に言いました。
「あのオバーちゃんが業者に騙されてくだらない工事をしているけど、業者がうちに訪ねてきても、相手にするんじゃないよ」
と言っている私の舌の根も乾かないうちに、業者が訪ねて来ました。

 
 私の家のインターフォンには、モニター画面が付いているんですが、その画面に作業服を着た若い男の顔がくっきりと映し出されました。
「今ご近所で工事をやっているんですが、是非お話しを……」
間に合ってます!」と、妻は毅然たる応対で業者を撃退しました。


 ああ、これを書いていて思い出したことがあります。
やはり数年前にご主人を亡くされた60代の婦人が近所にいらっしゃいますが、昨年このご婦人と家の前で立ち話をしていた時に、「営業に来た塗装屋さんに家の外壁や屋根の塗装の見積りを頼んだら、約200万円の見積が出て、高いので返事をためらっていたら一気に50万円も値引きすると言うんだけど、そんなに値引きされるとかえって心配で、未だ返事をしていないのよ」とおっしゃいます。


 50万円の値引きというのはべらぼうです。
業者は初めから大幅な値引きを覚悟で、その値引き分を上乗せして見積金額を提示しているに違いありませんから、値引きしてもらって当たり前、値引きしてもらわなければ、とんでもなく高い買い物をすることになります。

 
 しかし問題はそれだけではないのです。
値引き後の見積り金額150万円が正当かと言いますと、これも相当に高いんですね。


 その時私もそろそろ家の塗装を考えていたので、近所の信頼できる塗装屋さんから見積もりをしてもらっていたのですが、ここだけの話しですが、見積り総額は、約80万円でした。


 そのご婦人が私のアドバイスに従って、見積書を出した塗装屋に、大慌てで断りの電話を入れたのは言うまでもありません。


 実は私がセールスマンに対して異常なほどに敏感で、拒絶反応を起こすのは、私の妻に原因があったのです。
随分以前、私達夫婦が未だ新婚ほやほやの頃のことですが、"当選して移り住んだばかりの団地の我が家"に仕事から帰って来ましたら、食卓の上に、ピカピカの中華鍋が置いてあり、妻が満ち足りた顔で私を迎えます。


 妻によると、新聞の勧誘員が、3ヶ月間"Y新聞"をとるという約束と引き換えにその鍋を置いて行ったとのこと、しかも1ヶ月間は新聞代は無料にしてくれるという好条件です。

 
 どうやら知り合いになった近所の奥さんから、半年に1度くらいのペースで新聞を他紙に取り替えていくと、景品や、購読料の無料サービスなどで得をすると、悪知恵を吹き込まれたらしいんです。 


 こう言ってはなんですが、私の家系は少なくとも祖父の時代から、西日本新聞(九州の地方紙)と"A新聞"しか取ったことがありません。
 私の場合は日頃読み慣れている"A新聞"への愛着は強く、、たとえ10万円積まれても、他紙に乗り換える気持ちは毛頭ありません。
 それなのに中華鍋ひとつの誘惑で、来月から不本意な"Y新聞"を読まされるなんて。

 
 私はその時に初めて妻を叱りました。
でももう手遅れです。契約の印も押したし、中華鍋ももらってしまっています。


 それから3ヶ月間私は、毎日露骨にイヤな顔をして"Y新聞"を読んでいましたから、さぞかし妻も居心地が悪かったことでしょう。
 いえ、"Y新聞"が駄目な新聞だと言っているわけでは決してありません。
長年の習慣で、私の脳が朝日新聞以外のものを受け付けないのです。


 その中華鍋の件ですが、それがとんでもない粗悪品で、一度使って洗ったら、数日後には真っ赤な"鉄錆び"が浮き出てきて、使う前に先ず"鉄錆び"を洗い落とすのに時間がかかるという厄介な代物でした。


長女も幼稚園を卒園して来年は小学校という時期に、妻が又もややってくれました。
会社から帰ってくるとやはり食卓の上に、記名捺印をした1通の契約書が置いてあるのです。

 
 小学校の教材を6年間継続して購入するという契約で、代金は初回一括払いです。
もう忘れてしまいましたが、その契約金額も大変な額でした。
 敵もさるものです。
途中でユーザーの気が変わるといけないので、初回に全額回収してしまおうという魂胆です。
 

 この手の会社が長続きするとは思えませんので、会社が潰れたら、泣き寝入りが目に見えています。
契約金は未だ払い込んではいませんでしたし、私には幸い"クーリングオフ"の知識もありましたので、直ぐにはがきで"解約の通告"をして、ことなきを得ました。


 数年後、すっかりベテラン主婦となって精神的にも、肉体的にも貫禄と贅肉の付いた妻からこんな話しを聴かされました。

 
 その日、"避○具"を売りに女性のセールスマンが訪ねてきたらしいのです。
妻も相手が女性だったので、油断してうっかり玄関戸を開けてしまったんですが、女性はその品物の質感がいかに自然で、装着感にも優れているかをひとしきり説明した上で、いよいよ売り込みに入りました。
 彼女によりますと、販売の最低単位は1年分ですと。
 
 
 何を根拠に1年分の個数ををはじき出したのかは知りませんが、その個数たるものがべらぼうな数字で、私は思わず、
1年でこんなに? 俺を殺す気か!」と叫んでいました。

 
 だって1年間に25ダースですよ。
妻はその数量には魅かれる(?)ところはあったらしいんですが、価格には魅かれなかったので、買いませんでしたが。
  



                                                    平成15年12月10日
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