113.「"リホーム"って、何さ!」
「リフォーム」が10兆円産業などともてはやされて、もう10年以上にもなりますが、いまだに立看板やパンフレットなんかに、堂々と「リホーム」と謳っている恥ずかしくも大胆な会社があります。
このての会社は一時は随分多かったけど、最近はあまり見かけなくなりました。
日本語には、英語には無い独自の造語、即ちジャパニーズイングリッシュがありますから、「リホーム」と表記してもなんら差し支えは無いのですが、しかし「リホーム」は造語ではなくて、日本語には本来、フォという発音が無いことに起因する勘違いの表記なんですね。
まともな人だったら、「リホーム」と書かれた名刺を差し出されたら、この会社は大丈夫かなと首をかしげ、それから経営者の見識を疑い、この会社に我が家の重大な「リフォーム」を託していいものかどうか迷うことになるでしょう。
日本には明治以来、代表的には「ビルディング」をk「ビルヂング」<ビルジングというのもある>と表記する、感違い表記の揺るぎない伝統があり、主に大都市には、その伝統を死守する建物が相当数残っています。
レンガや石造りの古めかしい建物のプレートに刻まれたこの「○○ビルヂング」の彫刻文字、<しかも右側から書き始めています>を見て笑うような人は日本人の中にはいません。
そりゃー外国人だったら笑うでしょうが。
「ビルヂング」、すっかり日本に定着して市民権を得たこの外来語の語感、我が日本国の尊厳、威信、頑迷、ひたむきさ、伝統などのあらゆる保守的要素を一身に背負ったこの名称のビルにビジネス街の一角で出くわす度に、私は感激のあまりそれを見つめて立ち尽くすのです。
他にもこれに類する言葉で、現在もまかり通っている外来語は幾つもあるのですが、どうしても思い出せません。
さて本題に戻りますと、私が以前車でよく通った川崎市某区の街道筋に、「リホーム」と大書した看板を掲げる、神をも畏れぬ会社があったのですが、最近久しぶりにそこを通りましたら、その看板が掛け直されまして、社名も「○○リフォーム」と書き改められ、名実共にリフォーム会社へと変身していました。
私は恐らく10年近くも、人の出入りが少なく暇そうなそのリホーム会社の前を車で通り過ぎる度に、その立看板を遠目に見ながらため息をついていたのです。
これで積年のお節介な気苦労からは解放されました。
でもこの会社は今でも、繁盛しているようには見えませんが。
平成15年4月28日