ガス室に送り込まれる直前、彼は人が来ると尻尾を振った。
最後の最期まで人を信じ続け飼い主の迎えを待っているのであろう。

しかし、これから彼を迎えに来るのは「果てしなく続くであろう重い苦しみ」と
「冷たい死」である。
この子は悪くない!!なのに何故殺すの?!
私はこの子を捨てた飼い主を呪った。
密閉された小さな部屋に入れられ空気を抜かれ、やがて「炭酸ガス」が流し込まれる。
意識が朦朧とし始め、それでも必死に生きようと耐えるその姿に涙が溢れた。
酸素が無くなり始め呼吸が荒くなる。苦しみが伝わってきた。
「助けて!!」そう必死に訴えかけてきた。でも私にはどうすることも出来ない。
「せめてこの装置が壊れてくれたら・・・」そう祈ったが思いは届かず
見ている以外何も出来ない自分の無力さを悔み、呪った。心肺蘇生をしてあげたかったのに・・・。
「ごめんなさい、何もしてあげられなくってごめんなさい。」
私はその場で泣き崩れた。
崩れるようにして倒れ激しく痙攣を起こす。動物によっては失禁や脱糞もするであろう。
何十分もの長い間苦しんだ果ての死の訪れだった。
この子は悪くない、悪いのは人間なのに・・・勝手な飼い主なのに・・・。
「助けてやれなくて本当にごめんなさい。」
もどる